サン=テミリオン
ぶどう園があることで知られているサン=テミリオン(Saint-Émilion)には、2000年に渡る人とワインの歴史が今も残されています。
中世の村、サン=テミリオン
有名なボルドーのぶどう園の中心にある、中世の面影を残す魅力的な村、サン=テミリオン。世界的に有名なワイナリー、極上のワイン、素晴らしい建築物やモニュメント等が他に類を見ないほど調和している村です。
ボルドーから40分程の距離にあるサン=テミリオンは、冒険やワイン好きな方は勿論、様々な方に一年を通じて訪れていただけます。この少し高い岩場の上にある、歴史に溢れたサン=テミリオンとそのぶどう園を更に特徴づけている石灰岩があることでも知られています。また、一説によると、8世紀半ばにブルターニュ地方のバンヌ(Vannes)出身の聖エミリオン(Émilion)という修道士が、当時「アスクンバス(Ascumbas)」と呼ばれていたこの地に住まいを探していたことでサン=テミリオンという名になったと言われています。
9世紀から19世紀に石灰岩をくりぬいて村の建物が建設されました。200kmある地下ギャラリーでは、ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏やボルドーの建築に使われた石灰岩について学ぶことができます。地面の至る所にある石灰岩は、サン=テミリオンのぶどう園を更に引き立てています。
サン=テミリオンでは、歴史上でも珍しい、自然と人類が調和した風景を見ることができます。1999年にサン=テミリオンは、「歴史的なぶどう園の景観を残している稀少な例」であり、今も尚それを保ちながら活動を続けていることが称され、世界で初めてぶどう栽培地の景観がユネスコの世界遺産に登録されました。
サン=テミリオンのワイン
サン=テミリオンは、多様化された大きなテロワール(ぶどう産地)においても群を抜いています。多種多様なワインはその見事な土壌(石灰岩、粘土質、砂利と砂)とぶどう栽培に合った微気候によって生み出されています。この素晴らしい組み合わせと常に細心の注意を払いながらぶどうを育てているぶどう栽培者によって、栄養豊富で成熟したサン=テミリオンの主要品種、メルロー(Merlot)が栽培されています。また、いろいろな味や香りを楽しめるよう、ぶどう品種を巧みに混ぜ合わせることで、(メルローは主にカベルネ・フラン、カベルネ・ソヴィニョン、マルベックと一緒に組み合わされることが多い)数種類のサン=テミリオン・ワインがつくられています。
「ラ・ジュラド(La Jurade)」と呼ばれるサン=テミリオンのワイン自治共同体(Confrérie des Vins de Saint-Émilion)は、1199年にイングランドのジョン王(失地王)によって設立されました。彼はサン=テミリオンの有力者や司法官に行政を管理させるための、経済的、政治的、そして法的な権利を与えました。「ジュラド」は、1789年のフランス革命まで村の実権を握っていました。1948年には、何人かのぶどう栽培者によってこの共同体が再結成されました。今ではこの「ジュラド」がサン=テミリオンの有名ワインの命名や6月に開催される「春祭り(Fête de Printemps)」と「ぶどう収穫祭(Ban des vendanges)」を取り仕切っています。
サン=テミリオンには一つだけではなく数多くのワインがあります。今日では、サン=テミリオンはワインを知る上では欠かせない観光スポットとなっています。